税務調査なんて怖くない②

 日本には11の国税局と1つの国税事務所(沖縄)がある。

 国税局のうち、東京国税局の管轄は東京、千葉、神奈川、山梨の1都3県、関東信越国税局の管轄は埼玉、群馬、栃木、茨城、新潟、長野の6県である。浦和税務署から新潟県や長野県の税務署へ異動になることはあっても、日本橋税務署へ異動することはない。逆に日本橋税務署から山梨県の税務署に異動することはある。

 税務署員は3~5年で異動する。調査の合間の雑談で「何場所目ですか?」と尋ねると「6場所目です」「今までどちらに?」と聞くと、「足立、王子、市川、本郷、新宿、日本橋です」と全部答える人もいる。勤続年数の長さとともに徐々に都心に近づいている。麹町税務署、日本橋税務署など千代田区、中央区などの税務署勤務は彼らのステータスなのだろう。

 本郷税務署管轄の法人に調査が入ったときの雑談である。税務署員は30代の独身男性だった。

 「私の同期が山梨県の税務署に異動になったんですよ。可哀そうにな、と思って同情していたんです。ところが、調査にいった大きなぶどう農園のご主人に気に入られて、税務署辞めて婿になったんです。結婚式に呼ばれたんですけど、お嫁さんがめちゃめちゃ美人で…。私、次の異動希望先に山梨って書きました」

 はたして二匹目のドジョウはいるのか?

(プチ解説)

 税務調査に来た署員を婿養子にしたぶどう農園の経営者、いい人に目をつけたと思います。税務署員は税務や会計だけでなく「経理」もできるからです。「経理」とは経営管理の略です。
 税務調査官は「この会社は売上高の割に利益が少ない。経費や棚卸をごまかしていないか?」「前年に比べて利益率が悪化している。売上を先延ばししていないか?」など、事前に経営分析をしてから調査にきます。
 そんな方が後継者や社員がいれば、税理士もコンサルタントも必要ありません。税務調査が入ったら、優秀な若い調査官をスカウトするのもいい方法かもしれません。

執筆者紹介

【名前】
野口 義幸(のぐち よしゆき)

【取得資格等】
事業承継士、中小企業診断士、1級ファイナンシャルプランニング技能士

【自己紹介】
大手流通企業2社で、販売促進、営業、経営企画室長、総務課長を歴任。また、マネジメントゲームとパソコンを活用したセミナーの講師として延べ2,000人以上の経営管理者教育を実施。現在は都内の会計事務所に所属し、財務会計指導を中心に法人の経営コンサルティング、個人のライフプランニング等を行っている。また、ジャズドラマーとして定期的に都内のライブハウスに出演している。